2024年、サイバーセキュリティの脅威が一層深刻化しています。カナダのオープンテキスト(OpenText Corporation)が公表したリストによれば、ランサムウェアをはじめとする多種多様なマルウェアが企業や政府機関を標的にしており、重要インフラや個人情報が危機にさらされています。本記事では、2024年の最も厄介なマルウェアの概要と、これらの脅威への対応策について詳しく解説します。

2024年の最も厄介なマルウェア

以下に、今年注目すべきマルウェアを紹介します。

1. LockBit: ランサムウェアの「王者」

LockBitは、2年連続で最も危険なランサムウェアに選ばれています。高度な回避技術や適応力を備え、重要インフラを含む100万社以上を標的にしています。特にエネルギーや医療分野での被害が顕著です。

2. Akira: 新進気鋭の脅威

Akiraは、80年代風のブランドイメージと最新の暗号化技術を融合。金融や医療分野への攻撃で急速に影響力を拡大しており、Ransomware-as-a-Service(RaaS)モデルの代表例となっています。

3. RansomHub: データ窃盗の名手

RansomHubは、患者データや機密情報を標的にするマルウェアです。米国の家族計画連盟への攻撃が注目されており、被害者の重要情報を窃取して身代金を要求する手法が特徴です。

4. Dark Angels: フォーチュン50企業を狙う高度な侵入

Dark Angelsは、高度な侵入手法を用いて主要ターゲットに大きな被害を与えています。7,500万ドルの身代金を得た事例もあり、攻撃対象の規模と精度が際立っています。

5. Redline Stealer: 認証情報窃盗の専門家

Redline Stealerは、ランサムウェアではなく、認証情報の窃盗に特化しています。被害は多様な業界に及び、情報漏洩リスクを高めています。

6. Play Ransomware: 脆弱性を狙う攻撃者

Play Ransomwareは、FortiOSやRDPサーバーなどの脆弱性を悪用。公共部門と民間部門を狙い、多数の被害をもたらしています。


サイバーセキュリティ対応の重要性

オープンテキストの調査によれば、2024年のサイバー犯罪者はAI技術を駆使して攻撃を高度化させています。重要インフラへのランサムウェア攻撃が増加し、国家の安全保障や公共の安全を脅かす事態となっています。

  • 企業のセキュリティ投資の増加
    サイバーセキュリティへの投資は前年比14.3%増の2,150億ドル規模に達すると見込まれています。AIを活用したセキュリティツールや高度な侵入検知システムの導入が加速しています。
  • 政府と企業の連携
    国際的な協力と情報共有が、脅威に対応する鍵となっています。各国政府はセキュリティ企業と連携し、最新の攻撃パターンに迅速に対応しています。

2025年への展望と具体的な対策

来年以降も、セキュリティ強化が重要課題となるでしょう。以下の対策が有効です。

  1. AIと機械学習を活用した防御
    先進的なセキュリティツールで、攻撃をリアルタイムに検出・防止する取り組みが進んでいます。
  2. 組織全体での意識向上
    従業員向けの教育や訓練を通じて、セキュリティリスクに対する意識を高めることが不可欠です。
  3. 脆弱性管理の徹底
    システムの定期的な更新とパッチ適用が、攻撃リスクを大幅に低減します。
  4. データバックアップと復旧計画の策定
    データ損失を防ぐために、バックアップの実施と迅速な復旧体制を構築する必要があります。
  5. 国際協力の深化
    サイバー犯罪が国境を越えて拡大する中、情報共有と協力を通じて効果的な対策を講じることが重要です。
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EDR(エンドポイント検出および対応)の重要性

このような攻撃から企業を守るために、EDR(エンドポイント検出および対応)の導入をおすすめします。EDRの重要性について、以下のポイントを挙げます。

1. 早期検出と迅速な対応

EDRはエンドポイント上での不審な活動をリアルタイムで監視し、異常を即座に検出・対応します。HOYA株式会社が不審な挙動を早期に発見し、迅速にサーバーの隔離を行ったように、EDRは迅速な対応を支援する強力なツールです​​。

2. 詳細なインシデント調査とフォレンジック分析

EDRは、サイバー攻撃の詳細なインシデント調査とフォレンジック分析をサポートします。HOYA株式会社が外部専門家と連携してフォレンジック調査を行ったように、EDRを導入することで、攻撃の全貌を迅速かつ正確に把握し、再発防止策を講じるためのデータを提供できます​​。

3. 自動化された防御と復旧

EDRは、攻撃を自動的に防御し、被害を最小限に抑えるための対策を自動化する機能を備えています。HOYA株式会社のような大規模な製造業では、手動対応には限界があるため、EDRによる自動化された対応は非常に有効です。

4. 脅威インテリジェンスの活用

EDRは最新の脅威インテリジェンスを活用して、新たな攻撃手法に対する防御策を常に更新します。これにより、最新の脅威に迅速に対応することができます。

5. サプライチェーン全体のセキュリティ強化

製造業は複雑なサプライチェーンを有しており、その全体のセキュリティを強化することが重要です。EDRは、サプライチェーン全体のエンドポイントを包括的に監視・保護し、連携するパートナー企業のセキュリティも向上させることができます。


まとめ

2024年のサイバー脅威は、企業や政府にとって前例のない課題を突きつけています。しかし、適切な技術と戦略的投資、そして国際的な協力を通じて、これらの脅威に対抗することが可能です。2025年に向けて、さらに強固なセキュリティ体制を整えることで、デジタル社会の安全と信頼性を守ることが求められています。

参考:https://www.opentext.com/ja-jp