EDR(Endpoint Detection and Response)技術は、企業のセキュリティシステムにおいて不可欠な要素となっています。この技術は、エンドポイントデバイスにおけるサイバー脅威の検出、分析、対応を行い、組織のセキュリティを強化します。
今回の記事では、EDRの基本から、選択基準、重要性、および市場で注目されている主要な製品について詳しく解説します。
EDRとは
EDRは、組織のエンドポイントに対する監視と脅威対応のための技術です。
エンドポイントとは、コンピューターやスマートフォンのようにネットワークに接続されるデバイスのことを指し、これらはサイバー攻撃の主要なターゲットとなり得ます。
EDRシステムは、これらのデバイス上の異常な活動を検出し、迅速に対処することで、潜在的なセキュリティ侵害を防ぎます。
EDR製品選定の鍵
EDRソリューションを選定する際、MITRE ATT&CK評価は重要な指標の一つです。この評価は、サイバー攻撃のさまざまな手法に対する製品の効果を評価するもので、EDR製品の脅威検知能力を判断する上で役立ちます。
MITRE ATT&CK評価が高い製品は、多様な攻撃手法に対して高い検出率を示すことが期待されます。
監視機能とのシナジー
EDRは単独で使用しても効果的ですが、監視機能と組み合わせることでその真価を発揮します。
監視機能には、ネットワークトラフィックの分析や異常行動の検出などが含まれ、これらはEDRによる脅威検知と連動してより効果的なセキュリティ対策を実現します。
必見!EDR製品比較一覧
優れた脅威検知能力
SentinelOne
2022年のMITRE ATT&CK評価で最高の保護パフォーマンスを実現
運用コストを抑えたAIによる効率的な一次対応、世界中で1万社以上の企業が導入
- SentinelOneの自動化されたセキュリティ対応
SentinelOneは先進的な自律型AI技術を採用しており、セキュリティインシデントの初期対応から調査、封じ込め、エンドポイントの復旧に至るまで、迅速かつ自動的に処理する能力を備えています。
この自動化されたプロセスは、脅威の検出における遅れを排除し、MITRE ATT&CKで評価された100%リアルタイムの脅威検出を実現します。
これにより、運用コストの削減と効率的なセキュリティ管理が可能になります。 - SentinelOneの世界的な採用と評価
SentinelOneは、MITRE ATT&CK評価で100%の保護と検知、そして検知の遅延ゼロを達成し、30社の製品中で最高評価を受けています。
この卓越した実績により、2023年7月時点で全世界の1万社以上の企業に導入されていることが証明されています。
SentinelOneは高度なAI技術を用いた脅威検知と迅速な対応が特徴です。
様々な攻撃手法に対する検知能力が高く、ユーザーフレンドリーなインターフェースを備えています。
参照元:CentinelOne https://jp.sentinelone.com/、https://jp.sentinelone.com/blog/
Cybereason EDR
Cybereason EDRの自動化された高度な分析と検知
Cybereason EDRの充実した機能と専門家によるサポート
- 包括的なエンドポイントセキュリティ機能
Cybereasonは、必要な機能を網羅したエンドポイントセキュリティプラットフォームです。エンドポイントからのログを収集し、脅威の兆候をリアルタイムで検知します。脅威が検出されると、即座に通知を行い、迅速な対応を可能にします。これにより、あらゆる脅威に対して充実した機能で備え、効果的に対処することができます。
- Cybereason EDRのサポート機能
Cybereason EDRは、管理ユーザーごとに日本語と英語の言語切り替えが可能で、さまざまな状況に合わせて柔軟に利用できます。さらに、セキュリティの専門家による監視、解析、報告、そして導入や運用の支援が丁寧に行われるため、ユーザーは安心してシステムを利用できます。これにより、言語の壁を越えた効果的なセキュリティ管理が実現されます。
複雑な攻撃に対する深い洞察力と迅速な対応が可能。組織内のデータを分析し、サイバー脅威の全容を把握することで、効果的な防御策を提供します。
引用元HP:https://www.cybereason.co.jp/products/edr/
アクト
海外製のEDR製品を選ぶ際、国内ベンダー選びはサポート体制や製品性能の発揮に大きく影響します。ここでは、EDR製品における推奨ベンダー「アクト」の特徴を紹介します。
アクトの独自性とサービス
- SentinelOne/Cybereason どちらも対応可能
- 高度な分析・調査と迅速な対応: 2023年6月時点で国内唯一のIRパートナーであるアクトは、高度な分析・調査能力とスピード感のある対応を実現します。
- SOCサービス: 提供されるSOCサービスでは、アラートの精査により、危険度が高いアラートのみが選別されます。これは特にリソースが限られた中小企業にとって、積極的な導入が望まれる点です。
- 全国規模のSOCネットワーク: 東京、札幌、福岡にSOCを構築し、BCP対策も万全です。
- 包括的なサポート: ホワイト・ブラックリストの登録から、感染影響の排除まで、能動的に対応する数少ないサービスを提供しています。
アクトは、その独自のサービスと全国規模のサポート体制により、EDR製品の効果的な活用を可能にし、企業のセキュリティ体制強化に貢献します。
CrowdStrike
専門家サポートとその柔軟性・拡張性
専門家によるサポートとその柔軟性および拡張性の高さで注目
- 専門家サポートと包括的セキュリティ対策
CrowdStrikeは、既知および未知のマルウェア、ファイルレス攻撃などの脅威に対する自動検知・防御機能に加え、専門家による24時間365日の監視と迅速な対処サポートを提供しています。
- CrowdStrike Falconの柔軟性と拡張性
CrowdStrike Falconは、その柔軟性と拡張性に優れた製品ラインナップと追加モジュールにより、多様なビジネスニーズに対応します。
市場には多数のEDR製品が存在し、それぞれに独自の特徴や強みがあります。
企業の具体的な要件に応じて、最適なEDRソリューションを選択することが重要です。
引用元HP:Apex One Endpoint Sensor
https://www.trendmicro.com/ja_jp/business/products/user-protection/sps/endpoint.html
エンドポイント保護の核心
現代の脅威環境において、特に中小企業にとって、エンドポイント検出・対応(EDR)は重要なセキュリティコンポーネントとなっています。
以下に、EDRが不可欠である理由を説明します。
増加するサイバーセキュリティの脅威
- 脅威の増加と巧妙化: サイバーセキュリティ攻撃は増加の一途を辿り、その手口も複雑化しています。
- リアルタイム検出と対応: EDRはこれらの脅威をリアルタイムで検出し、迅速に対処する能力を提供します。
リモートワークの増加
- エンドポイントの脆弱性: コロナウイルス大流行以降、リモートワークが普及し、エンドポイントデバイスの使用が企業ネットワークの境界を越えて増加しました。これにより、エンドポイントの脆弱性が高まっています。
規制遵守
- セキュリティ要件の満足: 多くの規制は、特に敏感な情報を扱う組織に対して、特定のセキュリティ要件を満たすことを求めています。EDRは、これらの要件を満たし、セキュリティ対策を証明するのに役立ちます。
事後分析と救済
- 攻撃の分析と戦略策定: EDRは、攻撃が発生した場合の事後分析や救済のための重要なツールです。これにより、攻撃の原因や動機を理解し、将来の攻撃を防ぐための戦略を策定することが可能になります。
EDRの適切な使用
- セキュリティ対策の一部: EDRはセキュリティ対策の一部であり、単独では完全なセキュリティを提供しません。
- 他の対策との組み合わせ: EDRは、他のセキュリティ対策と組み合わせて使用することで、その効果を最大化できます。
EDRは、現代の複雑なサイバーセキュリティ環境において、組織のセキュリティ体制を強化するための重要な要素です。適切に統合され、他のセキュリティ対策と連携することで、企業はより堅固な防御体制を構築することができます。
セキュリティの要
EDRは、エンドポイントの保護における重要な役割を担います。これは、脅威を迅速に検出し、適切な対策を講じることで、組織全体のセキュリティ体制を強化することができるためです。
SOCとの強力な連携
EDRの効果を最大化するためには、SOC(Security Operations Center)のサポートが必要です。SOCは、セキュリティインシデントの監視、分析、対応を専門的に行い、EDRシステムと連携してより包括的なセキュリティ対策を実現します。
EDRがない場合のリスクとその影響
エンドポイント検出・対応(EDR)ソリューションがない場合、組織は複数のセキュリティリスクに直面する可能性があります。以下に、主なリスクを挙げます。
早期検出の難しさ
- 異常行動の見逃し: EDRはエンドポイントでの異常な行動を検出するために設計されています。EDRがないと、セキュリティ脅威の早期検出が困難になり、攻撃を認識するのが遅れることがあります。
- 大規模な被害のリスク: 脅威の早期検出ができない場合、攻撃による被害が拡大する可能性が高まります。
対応の遅延
- 自動対応の欠如: EDRは検出された脅威に対して自動的に対応することが可能です。EDRがなければ、脅威への対応が遅れ、被害が拡大する恐れがあります。
事後分析の難しさ
- インシデント調査の困難: EDRはセキュリティインシデントの調査と回復を支援します。EDRがないと、攻撃の原因や影響範囲の特定が難しくなります。
- 再発防止策の不足: 同様の脅威を将来防ぐための対策が講じにくくなります。
遵守の問題
- 規制要件の不満足: 特定の規制や産業標準は、EDRの使用を要求することがあります。EDRがないと、これらの規制遵守要件を満たすことが困難になる可能性があります。
総合的なリスク
- セキュリティ体制の全体的な弱体化: EDRは、組織のセキュリティ体制の重要な部分です。その欠如は、全体的なセキュリティの弱体化を招き、サイバー攻撃に対する脆弱性を高める可能性があります。
以上のように、EDRがない場合には、早期検出の難しさ、対応の遅延、事後分析の困難さ、規制遵守の問題など、多方面にわたるリスクが生じます。したがって、各組織は自身のニーズ、リスク許容度、リソースを考慮して、EDRソリューションの採用を検討することが重要です。
まとめ
EDRは現代のサイバーセキュリティ環境において不可欠なコンポーネントです。エンドポイントを守ることは、組織全体のセキュリティを保つ上で非常に重要です。
適切なEDRソリューションを選択し、SOCとの連携を図ることで、より強固なセキュリティ体制を構築することができます。
また、MITRE ATT&CK評価などの基準を参考にしながら、組織に最適な製品を選定することが重要です。