サービスアカウントとは?
サービスアカウントは、アプリケーションやシステムの動作を支える特別なアカウントです。これは人間のユーザー用ではなく、プログラムやタスクを実行するために作られたものです。
特に、クラウドコンピューティングやシステムの自動化においてよく使われます。
例えば、Google CloudのCompute Engineインスタンスに関連付けることで、そのインスタンスで動作するアプリケーションがリソースへアクセスできるようになります。
各サービスアカウントは、固有のメールアドレスで識別され、API呼び出しやクラウドリソースへのアクセスを認証します。
サービスアカウントの種類
Google Cloudでは、主に以下の3種類のサービスアカウントが存在します。
- ユーザー管理のサービスアカウント
- ユーザーが手動で作成・管理するもの。
- ワークロード(アプリケーションやプロセス)を識別するために使用。
- デフォルトのサービスアカウント
- 特定のGoogle Cloudサービスを有効化すると自動的に作成されるもの。
- ユーザーが管理と設定を行う責任がある。
- サービスエージェント
- Google Cloudが作成し管理する特別なアカウント。
- Googleサービスがユーザーに代わりリソースにアクセスする際に利用。
サービスアカウントの利用例
以下のような状況でサービスアカウントが使われます。
- 実行中のサービス
バックグラウンドで動くアプリケーションやデーモン。 - スケジュールタスク
定期的に実行されるジョブ(例:クロンジョブ)。 - アプリケーションとAPIの統合
外部システムとの接続やデータの連携。 - 自動化スクリプトやデータベース操作
スクリプトを使った運用の効率化。
なぜサービスアカウントにはセキュリティ対策が必要か?
リスクと特権アクセス
サービスアカウントには通常、強力な特権アクセスが割り当てられており、これがサイバー攻撃者の標的になりやすい原因となります。
侵害された場合、以下の被害が発生する可能性があります。
- マルウェアやスパイウェアの設置
- システム全体の探索や不正ソフトウェアの導入
- データやアカウントの削除
セキュリティ対策のポイント
サービスアカウントを安全に運用するためには、以下の管理が必要です。
- アカウント使用状況の把握
サービスアカウントがどのリソースで使われているかを常に監視する。 - 資格情報の保護
- パスワードやSSH鍵を暗号化された保管庫で管理する。
- パスワードの定期変更を実施。
- 特権アクセスの最小化
- 必要最低限の権限だけを付与する「役割ベースのアクセス制御(RBAC)」を採用する。
- ドメイン管理者などの高権限グループへの登録を避ける。
- リモートアクセスのセキュリティ強化
リモートワークの普及に伴い、外部からの攻撃リスクが増加しているため、適切なアクセス制御が重要。
文書化と監視
特に大規模な環境では、多数のサービスアカウントを管理する必要があるため、以下を徹底します。
- ライフサイクル管理
サービスアカウントの作成から削除までを追跡し、説明責任を果たす。 - 監査可能性の確保
使用状況の記録や、権限変更を監視するためのログを保持。
まとめ
サービスアカウントは、現代のITシステムに欠かせない存在です。一方で、その管理やセキュリティ対策を怠ると重大なリスクを引き起こします。以下を実施することで、安全かつ効率的に運用可能です。
- 使用状況の把握
- パスワードや資格情報の厳格な管理
- 権限の最小化と適切なアクセス制御
- 文書化とログの追跡
適切な運用が、システム全体の安定性とセキュリティを守る鍵となります。