2024年10月、カシオ計算機株式会社がランサムウェア攻撃の被害を受け、システム障害や情報漏えいが発生しました。この事件は、企業のセキュリティ対策と経営判断の重要性を浮き彫りにしました。

今回は、事件の概要と影響を整理するとともに、これからのセキュリティ対策の在り方について考察します。

事件の概要

カシオ計算機は10月5日に発生したシステム障害を調査した結果、ランサムウェア攻撃による不正アクセスを確認しました。同社は、外部セキュリティ専門企業の協力を得ながらフォレンジック調査を実施。10月11日には、被害状況を公表し、次のような情報漏えいの可能性を明らかにしました。

  • 漏えいの可能性がある情報
    • 従業員や関係会社社員の個人情報
    • 採用面接の応募者情報
    • 契約書や売上情報などの企業機密

クレジットカード情報の漏えいはなかったものの、流出した情報の一部は機密性が高い可能性があり、調査が続いています。
参考:https://www.casio-human-sys.co.jp/report/

経済的影響と企業の対応

今回の攻撃は、カシオ計算機の業績にも直接的な影響を与えました。被害調査の過程で社内システムを停止した結果、製品供給が滞り、130億円の販売機会損失と約40億円の営業利益減少が発生しました。この影響は特にクリスマス商戦など第3四半期に集中するとされています。

一方で、同社は身代金の要求を拒絶する毅然とした姿勢を示しました。警察や弁護士と協議した上で「不当な要求には応じない」とし、サイバー犯罪に屈しない方針を明確にしたのです。

ランサムウェア攻撃の被害を受けたカシオ計算機株式会社は、犯罪者からの身代金要求を断固拒否する決断を下しました。この判断は、企業としての倫理観や社会的責任を強く示すものとして高く評価されるべきです。

ランサムウェア攻撃において、金銭を支払ったとしても、必ずしもデータが戻るわけではありません。さらに、一度支払えば、攻撃者に弱みを握られたり、追加の要求を受けたりする可能性もあります。何より、支払いはサイバー犯罪を助長し、他の企業や組織が新たな被害に遭うリスクを増大させます。データや信頼を守るためには、犯罪者に屈するのではなく、適切なセキュリティ対策や迅速な対応を講じることが最善の道です。

今後の課題と教訓

今回の事件は、サイバー攻撃が単なるIT問題ではなく、企業全体の経営や社会的信用にまで影響を及ぼすことを示しています。特に以下の課題が浮かび上がります。

1. 迅速な対応体制の構築

カシオは、攻撃発覚後すぐに被害サーバーをネットワークから切断し、外部専門家を招いて調査を進めました。このような迅速な対応は被害の拡大を防ぐうえで重要です。他企業もインシデント発生時の対応計画を事前に準備する必要があります。

2. セキュリティ対策の強化

情報漏えいの防止には、システムの多層防御や従業員のセキュリティ教育が不可欠です。特に、ランサムウェア攻撃はメールを通じて侵入するケースが多いため、不審メールの識別や削除を徹底する仕組みを導入すべきです。

3. 被害を最小限に抑える経営判断

カシオのように身代金を拒否する判断は、企業の倫理観や社会的責任を示すものです。しかし、この判断には大きなリスクも伴います。攻撃を防ぐための保険や対応コストを経営計画に織り込むことが求められます。

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昨今のサイバー攻撃と言えばランサムウェア攻撃が代表的ですが、ランサムウェアアクターは個人情報や設計情報、営業情報といった秘密情報を窃取し、その情報を公表しないことを条件に身代金を要求します。
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アジェンダ
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  2. アクト 横井より EDR + SOCについて
  3. 株式会社データクレシス 津村様より 暗号化について
  1. 開催形式
    オンライン/録画配信
  2. 登壇者

株式会社データクレシス
マーケティング本部
津村 遼

    株式会社アクト
    サイバーセキュリティサービス事業部
    事業部長 ビジネスプロデューサー
    横井 宏治


      まとめ

      今回のカシオ計算機のランサムウェア被害は、企業がサイバーセキュリティの重要性を再認識する契機となりました。同社は毅然とした対応で被害を抑えようとしていますが、経済的な損失や社会的な影響は避けられません。

      この事件を教訓に、他の企業もセキュリティ対策を強化し、攻撃を想定した対応計画を策定することが重要です。サイバー攻撃が高度化する中、企業が持続的に成長するためには、技術的対策と経営判断の両輪を確実に整える必要があるでしょう。